第18回世界コンピュータ将棋選手権 1次予選 2回戦

第2戦の相手は「うさぴょん」。
「れさぴょん」ベースのym将棋にとっては、師匠にあたる相手です。
師弟対決と呼ぶには、弟子の方があまりにふがいないですが。。

対局の方は、18 手目に後手ym将棋が△34歩と、ようやく角道を開け、その直後に角交換。
▲24歩と突かれた歩を△同歩と取り、▲24同飛と来ると予想していましたが、うさぴょんの指し手は▲77銀。
こちらが▲24同飛の後△33角と打つのを見透かしていたのでしょうか。

ym将棋の方の評価は、25 手目くらいまでわずかにマイナス、つまり後手(ym将棋)有利でした。
以下の局面は、23 手目、▲77銀まで。

後手の持駒:角 歩
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
v香v桂v銀 ・ ・v玉 ・v桂v香
・v飛 ・v金 ・v銀 ・v金 ・
・ ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩
v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・
歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩
・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・
香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香
                                                        • +
先手の持駒:角 後手番 先手:usapyon 後手:ymshogi

この後ym将棋はなぜか△33金。
ログを見ると、△33金▲46飛△31王▲68金△72銀、と意味不明の手順を読んで、-600 点くらいで自分が有利と思っていたようです。
ともかく、この手で22の地点に後手の利きがなくなったため、すかさず▲22角と打ちこまれてしまいました。
ym将棋はここで 39 秒考え、△32角と打ちこみました。

後手の持駒:歩
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
v香v桂v銀 ・ ・v玉 ・v桂v香
・v飛 ・v金 ・v銀v角 角 ・
・ ・v歩v歩v歩v歩v金 ・v歩
v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・
歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩
・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・
香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香
                                                        • +
先手の持駒:なし 先手:usapyon 後手:ymshogi

この時、私は席を離れ、うさぴょんの画面を見せて頂いていたのですが、
「これは読み筋を知りたいなあ」というような反応でした。
私もその場では意味が分かりませんでした。
ログによると、ym将棋はこの時 6 反復目の途中で思考を中断し、△32角打の後、▲11角成△23金▲69王△25歩▲25飛、と読んでいます。
つまり、▲11角成で香を取られるのは仕方ないが、その後▲21馬と桂も取られるのは防ごう、ということのようです。
まずいことが起こった、というのは理解したようで、評価値は +700 くらいで先手うさぴょん有利、と出ています。
実戦では△23金までその通りに進みましたが、うさぴょんは▲69王などと指すはずもなく、取ったばかりの香を▲22香と打ちこんできました。
少し進んで、37 手目うさぴょんの▲22成香が角と金の両取り。

後手の持駒:歩
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
v香v桂v銀 ・v玉 ・ ・ ・ 馬
・v飛 ・v金 ・v銀v角 杏 ・
・ ・v歩v歩v歩v歩v桂v金 ・
v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・
・ ・ 歩 ・ ・ ・ 飛 ・ ・
歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩
・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・
香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香
                                                        • +
先手の持駒:なし 後手番 先手:usapyon 後手:ymshogi

ym将棋の指し手は、ほぼ即決で▲41角。
せめて金と香の交換にしたわけですが、これで評価値は +1700 くらい。だいぶ先手有利と判断しています。
実戦でも▲23成香△同角と進み、▲24金打の角取りになぜか△35香打。
一応飛車取りなのですが、この時の読み筋は△35香打▲同飛△26歩▲36飛△41角▲34飛△27歩成(7 反復目の途中で中断)。
つまり、打った香はすぐに取られると読んでいるのですが、さらに不可解なのはその後△35同歩と飛車を取るのを善いと評価していないこと。
この辺も評価関数が変なのかもしれません。

実戦では△35香打の後、当然ながら▲46飛と逃げられ、ym将棋も△41角と角を逃げます。
その後▲33金と桂を取られ、▲33同銀は△33同馬なので取れず、△72銀と△52金のどちらにするか悩んでいました。
予測読みの分も含めて 70 秒以上考えた結果、△72銀では▲43金以下、手順は分かりませんが詰みがあると読んだらしく、△52金と選択。
▲34金と歩を取られた後、ym将棋は△37香不成。

後手の持駒:歩二
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
v香v桂v銀 ・v玉v角 ・ ・ 馬
・v飛 ・ ・v金v銀 ・ ・ ・
・ ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・
v歩v歩 ・ ・ ・ ・ 金 ・v歩
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・
・ ・ 歩 ・ ・ 飛 ・ ・ ・
歩 歩 銀 歩 歩 歩v香 ・ 歩
・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・
香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香
                                                        • +
先手の持駒:桂 歩 先手:usapyon 後手:ymshogi

この時は 6 手読みで、読み筋は△37香▲33桂打△32角▲23歩打△39香成▲22歩成。
相手は攻めを優先してくるだろうから、その隙にせめて銀を取ってやろう、ということのようです。
もうこの辺りでは、評価値は +2000 から +3000 を指していて、先手有利の判断。

うさぴょんが普通に△37同桂と取った後、ym将棋は玉を左方へ逃げつつ、必死の守り。
さっき読んだ▲23歩打〜▲22歩成も実現してと金を作られ、59 手目のうさぴょん▲32と、に対し、なぜか△44歩。

後手の持駒:歩二
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
v香v桂 ・v玉v金 ・ ・ ・ 馬
・v飛 ・v銀v角v銀 と ・ ・
・ ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・
v歩 ・ ・ ・ ・v歩 金 ・v歩
・v歩 ・ ・ ・ 香 ・ 桂 ・
・ ・ 歩 ・ ・ 飛 ・ ・ ・
歩 歩 銀 歩 歩 歩 ・ ・ 歩
・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・
香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 ・ 香
                                                        • +
先手の持駒:桂 歩 先手:usapyon 後手:ymshogi

これは▲44同馬と取られるだけで、水平線効果なのですが、マイムーブ戦の時と同じく、分かっていながら時間切れでそのまま指した、というパターンでした。
以後は防戦一方で、79 手目で投了となりました。


序盤で一瞬の隙を突かれ、そのまま寄り切られた、という印象でした。
結局先手の方は玉が一歩も動いてませんでした。。