第19回世界コンピュータ将棋選手権 2次予選 4回戦
4回戦の相手は「みさき」。
いつもブログ読ませてもらってます。
最初に結論を言ってしまうと、プログラムの実力はやはり段違いで、1回戦の対備後将棋戦と同じく、1手のミスで即終了、という感じでした。
ym将棋の読みの浅さが浮き彫りになったのがこの局面。
後手:ymshogi 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1
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v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香 | 一 |
・v飛 ・ ・v金v玉 ・v角 ・ | 二 |
・ ・v歩v歩v銀 ・ ・v歩v歩 | 三 |
v歩 ・ ・ ・v歩 歩 ・ ・ ・ | 四 |
・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・v銀 | 五 |
・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ | 六 |
歩 歩 角 銀 歩 銀 ・ 歩 桂 | 七 |
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ | 八 |
香 桂 ・ 金 玉 金 飛 ・ 香 | 九 |
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先手のみさきが▲44歩と突いてきたところで、この時点でym将棋は△32金▲43歩成△同金右▲22角成△同金とかいう手順を読んで、わずかに後手有利(ほぼ互角)と評価しています。
確かにここまでなら、急転直下というほど悪い展開ではない、ように見えます。
実戦でもその通り進むのですが、次の▲43歩成の局面で突如評価値が急落。
理由は、先の読み筋の△同金の後、▲31角打があることに気づいたためです。
後手:ymshogi 後手の持駒:角 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1
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v香v桂 ・ ・ ・ ・ 角v桂v香 | 一 |
・v飛 ・ ・ ・v玉 ・v金 ・ | 二 |
・ ・v歩v歩v銀v金 ・v歩v歩 | 三 |
v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ | 四 |
・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・v銀 | 五 |
・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ | 六 |
歩 歩 ・ 銀 歩 銀 ・ 歩 桂 | 七 |
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ | 八 |
香 桂 ・ 金 玉 金 飛 ・ 香 | 九 |
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いやな読みは見事に当たり、みさき▲31角。
やむなく△51玉と逃げますが、▲22角成でもはや勝負ありでしょう。
ちなみに、その後△同飛と取ったのは、モンテカルロ探索の指し手です。
通常探索の読み筋は△95角打▲77馬△同角成▲同桂△33角打でした。こう進んでいたら、負けるにしても少し粘れたかもしれません。負けるときはいさぎよく、がモンテカルロの特徴?
その飛車も結局取られ、もはやなすすべもなく詰まされました。
後手:ymshogi 後手の持駒:歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1
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v香v桂 ・ ・ ・ 龍 ・v桂v香 | 一 |
・ ・ ・ ・ 龍 ・ ・ ・ ・ | 二 |
・ 金 ・ 金v銀 ・ ・v歩v歩 | 三 |
v歩 角v歩 ・v歩 ・ ・ ・ ・ | 四 |
・v歩 ・v歩v玉 ・ ・ ・v銀 | 五 |
・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ | 六 |
歩 歩 ・ 銀 ・ 銀v角 歩 桂 | 七 |
・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ ・ ・ | 八 |
香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ ・ 香 | 九 |
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見事な都詰めです。
これで1勝3敗ですが、実質的には4連敗。
記録上は全敗はないのですが、作者の心理的には結構こたえます。
ところで、小宮さんとはym将棋に搭載しているモンテカルロ探索の話を少ししました。
アルゴリズムは以前このブログに書いたので省略しますが、
「それは合議制っていうことですか?」
と聞かれました。
まあ広い意味では合議制と言える気がしないでもないです。
ただ、合議する人(プログラム)が2人しかいないので、多数決で決めるわけにいかず、意見が割れたときは話し合いで決めるしかないわけです。
もちろん、コンピュータ同士で話し合いとかはありえないので、どういう場合はどちらの指し手を採用する、という基準をあらかじめ決めておく、という手法をym将棋では採っています。
ただこの判別基準については納得のいくようなものがなく、場当たり的に決めているのが現状です。
「棋理」の佐藤さんの論文でも、モンテカルロ将棋が得意とする局面、苦手とする局面があることが述べられていて、これは私の実感とも一致するのですが、ではどういう局面が得意で、どういう局面が苦手なのか、 それを判別するのは難しいです。
もう1人、合議する人が増えると多数決にできるんですが…
また、そのためには最低でも4coreのマシンが必要なので、(金銭的にも)大きな決断が必要です。