第19回世界コンピュータ将棋選手権 2次予選 2回戦

2回戦の相手は「きのあ将棋」。
2回戦までは事前に対局が決まるので、席は私の正面。受け付け締切時刻間際に、でかいサーバを持ち込んで、重そうにセッティングされていました。
驚いたのは、本体にまだビニールのカバーがかぶっていたこと。
数日前に購入されたまま、まだセッティングが済んでいないとのことで、電源を入れると、WindowsUpdateの「再起動しますか」メッセージやウィルス対策ソフトのメッセージが出力される状態。
思わず「試合中にWindowsUpdateやウィルス検索が動いたら大変じゃないですか」と聞いてみると、
「4コアのうち、将棋で使うのは1コアで、残りはウィルスバスターで使うから大丈夫」
という答えでした。


Vistaには慣れておられないようで、IPアドレスの設定で苦戦されていたので、私の方が
「ここの画面で…」とやり方を説明していると、「パソコン詳しいですね」と言われてしまいました。
この辺は、ふだんVistaを使っているので慣れている、というのが大きいですね。同じ設定をするのでも、XPとは全然画面の呼び出し方が違うので。
余談ですが、その時きのあ将棋さん以外に、山田将棋さんと私が一緒に設定とかをお手伝いしていましたが、この3人はなんと同姓。この日、残念会反省会の時に山田将棋さんとお話ししましたが、確率が妙に高い気がします。


きのあ将棋さんは私の席の隣に来られて一緒に観戦。
最初に評価値が大きく動いたのは、この局面です。

後手:ymshogi
後手の持駒:角 歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香
・v飛 ・v銀 ・v銀v玉 ・ ・
v歩 ・v歩v歩 ・ ・v金v歩v歩
・ ・ ・ ・ 銀 歩v歩 ・ ・
・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・
歩 歩 桂 歩 歩 ・ 歩 歩 歩
・ 銀 金 玉 ・ 飛 ・ ・ ・
香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香
                                                        • +
先手:Kinoa 先手の持駒:角 歩  手数=29 ▲5四銀 まで 後手番


ym将棋は最初、△84飛▲65角打といった順を読んでいました。
しかし、きのあ将棋に▲43角打という手があることを見つけ、評価値が急降下。
△22王▲61角成と馬を作られては大変なことになります。
▲43角打に△43同銀と取った場合どうなるか、ログにはそこまで読み筋が出てないので分かりませんが、▲43同歩成△同金▲同銀成となると、先手は銀と金、後手は角と歩をそれぞれ得ますが、43に先手の銀が残るので後手は苦しそう。
他にも▲43歩成という手があると読んでいます。
結局指したのは△52金でした。評価値は+300くらいで先手有利。


その後、評価値的には一進一退となり、次に評価値が動いたのは53手目、▲71角とされた局面。

後手:ymshogi
後手の持駒:銀 桂 歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
v香v桂 角 ・ ・ ・v玉v桂v香
・v飛 ・ ・v金 ・ ・ ・ ・
v歩 ・v歩v歩v銀 ・v金v歩 ・
・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩
・v歩 ・ ・ 歩 飛 ・ ・ ・
・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・
歩 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 歩
・ 銀 ・ 金 金 ・ ・ ・ ・
香 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香
                                                        • +
先手:Kinoa 先手の持駒:角 銀  手数=53 ▲7一角 まで 後手番


ここで最初△72飛を読んでいたんですが、なぜか評価値が急落し、後から見つけた△92飛を指しています。
評価値は一気に+500程度に。
理由はよく分からないんですが、△72飛▲53角成まで読んだところで評価値が悪くなっているので、その後の静止探索で△53同金▲42銀打とかが見えたのかもしれません。


いずれにしても、次の▲83銀打で飛車が死んでしまいました。。
△44銀打で飛車同士の交換に持ち込んだはいいのですが、▲92銀不成に対し飛車も銀も取らず、△42玉。
きのあ将棋はもちろん▲44飛で銀を丸得です。
実はこの△42玉は、今回数少ないモンテカルロ木探索で指した手です。駒損をいとわず勝負手を指したつもりかもしれませんが、これは勝負手にもなっていない気がします。。
ちなみに通常探索では、△92同香を読んでいました。


以後、評価値的には一気に敗勢となり、75手で投了となりました。

後手:ymshogi
後手の持駒:桂 歩二 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
全v桂 角 ・ ・ 龍 ・ ・v香
・ ・ ・ ・ ・v金v桂 ・ ・
v歩 ・v歩v歩 ・v玉v金v歩 ・
・ ・ ・ ・ 銀v銀v歩 ・v歩
・v歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・
・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・
歩 歩 ・ 歩 ・v桂 歩 歩 歩
・ 銀 ・ 金 金 ・ ・ ・ ・
香 玉 ・ ・ 香 ・ ・v龍 香
                                                        • +
先手:Kinoa 先手の持駒:角 歩  手数=75 ▲5四銀 まで 後手番


きのあ将棋さんには、
「駒の取り合いになると読みが鋭くなりますねー」
と言われました。指し手延長や、静止探索とかの効果が出ているのかもしれません。
逆にいえば序盤がまだ弱いということでもありますね。

いずれにしても、変な手が1手でもあるともう勝てません。
全敗の不安が大きくなってきます。