第19回世界コンピュータ将棋選手権 1次予選 6回戦

6回戦の相手は「KCC将棋」。
むろん初対戦です。
この時点でym将棋は3勝2敗(実質2勝3敗ですが)、ここで1敗すると3勝3敗になるので、1次予選通過が厳しくなります。
朝の時点では、通過するとは全く思ってなくて、去年が3勝4敗だったので勝ち越せればいいかなと思っていたのですが、人間欲深いもので、3-2になった時点で「あと2連勝すればひょっとして」とか思い始めてました。
でも相手がKCC将棋に決まった時点で、その夢はもろくも崩れます。ただ7回戦で勝って、さらに予選通過が4-3のチーム同士の争いになったら、ソルコフで多少有利かな、という感じでした。


評価値は序盤からほぼ互角で、36手目あたりですこし後手有利に振れてきました。

後手:ymshogi
後手の持駒:歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
v香 ・ ・v金 ・v金 ・v桂v香
・v飛 ・v銀 ・v角v玉 ・ ・
v歩 ・v桂v歩 ・ ・v銀v歩v歩
・ ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・ ・
・v歩 ・ 歩 ・v歩 ・ ・ ・
・ ・ 歩 ・ 歩 角 ・ ・ ・
歩 歩 銀 金 ・ 歩 銀 歩 歩
・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・
香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 桂 香
                                                        • +
先手:kcc 先手の持駒:歩  手数=36 ▽4五歩 まで


ym将棋の読み筋は、▲68角△65桂で、1歩得するので有利、という判断。
実際もその通り進んだのですが…
実は後手玉の囲い方がまずくて、先手のKCC将棋が有利だったようです。
この辺、思いがけず勝又先生の解説で取り上げられ、KCCの囲い方を評価されてました。

後手:ymshogi
後手の持駒:歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
v香 ・v飛 ・ ・v金 ・v桂v香
・ ・ ・v銀v金 ・v玉 歩 ・
v歩 ・ ・ ・v角v歩 ・ ・v歩
・ ・v歩v歩v銀 ・ 歩 ・ ・
・v歩 ・v桂 ・ 歩 ・ 桂 ・
・ ・ 歩 銀 ・ 角 銀 飛 ・
歩 歩 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 歩
・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・
香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香
                                                        • +
先手:kcc 先手の持駒:歩二  手数=74 ▽5三角 まで


この時点では駒割は互角で、評価値はマイナス(後手有利)のまま推移していたのですが、ここからKCCが一気に攻め始めました。
▲21歩成△31金▲同と△同玉▲33桂成、であっという間に下記の局面に。

後手:ymshogi
後手の持駒:歩四 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
v香 ・v飛 ・ ・ ・v玉 ・v香
・ ・ ・v銀v金 ・ ・ ・ ・
v歩 ・ ・ ・v角v歩 圭 ・v歩
・ ・v歩v歩v銀 ・ 歩 ・ ・
・v歩 ・v桂 ・ 歩 ・ ・ ・
・ ・ 歩 銀 ・ 角 銀 飛 ・
歩 歩 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 歩
・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・
香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香
                                                        • +
先手:kcc 先手の持駒:金 桂 歩二  手数=79 ▲3三桂成 まで 後手番


評価値は+2000(先手有利)を超え、ym将棋は詰みを逃れるので精一杯。
対局はあと30手ほど続きますが、すでに勝負はついていました。
投了図は次の通り。

後手:ymshogi
後手の持駒:角二 金二 歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
v香 飛 ・ 龍 ・ ・ ・ ・v香
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
v歩 ・v玉 ・ ・v歩 ・ ・v歩
・ 銀v歩v桂v銀 ・ 歩 ・ ・
・v歩 ・v桂 ・ 歩 ・ ・ ・
・ ・ 歩 銀 ・ ・ 銀 ・ ・
歩 歩 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 歩
・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・
香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香
                                                        • +
先手:kcc 先手の持駒:桂 歩四  手数=109 ▲8四銀 まで 後手番


駒割が互角か有利でも、駒の配置(効率)が悪くてはダメ、ということを思い知らされました。

KCC将棋の代理操作担当の方は非常に気さくな方*1で、ym将棋の定跡が切れた後も、序盤ほとんどノータイムで指していたことを言うと「定跡は相当入っているようですね」とのこと。
お国柄で、国外の情報が入って来ないのではないか、と思って聞いてみると、実はそうでもないようで、最新の情報は入手しているらしいです。
勝又先生が解説で「BonanzaMethodを使っている」というお話をされてましたが、さもありなん、という印象でした。

*1:国家機密に触れない限り?